天罰
「痛ーーーいっ!!」

足湯の中は足つぼのごとく凸凹とした石が敷き詰められており
歩くたびに悲鳴を上げた。

「桃さん、もうすぐです。ここだとお湯の温度がちょうどいいですよ」

私は必死に悟くんの後を追い、彼の言う目的の場所まで向かい
腰を下ろした。

「悟くん、浴衣濡れてるよ」

「あ、本当ですね!油断するとこうなるんすね」
と言って笑ったので私も

「もーおバカさん」と言って笑った。

「桃さん、足が白くて綺麗ですね」

急に彼が真面目なことを言ってくるので
私は思わず「あ、ありがとう」と戸惑うように答えた。

悟くんに褒められるたび私は嬉しくてだけど少し照れくさくて
他に言う言葉が見つからず俯いた。

彼も一緒に黙ってしまったので私は彼の方を見上げた。

普通の男性よりも少し長いボサボサの髪型、タレ目の二重まぶたに
少しぼってりとした唇。本人の前では絶対言えないけどこういうのをブサ可愛いというのであろう。

それに加え、大学も中退した引きこもり男子。

なんでそんな彼に惹かれるのだろう。
なんでこんな彼にドキドキするのだろう。

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