天罰
それでも私の怒りが収まらなかった。

彼に誤解されたことにすごく腹が立った。

「ごめんなさい、桃さん・・・」

彼は私の前に来ると何度も頭を下げて謝った。

「そんなに私とやりたいの?」

「え?」

藪から棒に言われて彼は私の顔を見た。

私は目に涙を溜めながら思ってもいないような嫌味を
怒り任せに彼に言った。

「そんなに私とやりたいから必死に謝ってるんでしょ?
私が綺麗だから?経験豊富だから?そうなんでしょ?
童貞卒業には良い相手だもんね」

冷たく言い放つと今度は彼は「桃さん!」と言って私に怒鳴った。

「そんな訳ないでしょ!!本当に桃さんのことが好きだから
桃さんを抱きたいって思うんですよ!身体目当てで
桃さんとホテルに行きたい訳じゃないですよ!」

「じゃぁ、なんでそんなに必死なのよ!?」

「桃さんに嫌われたくないからですよ!!」

人気のない夜の道路に彼の声が響いた。
私は彼の真っ直ぐな気持ちにハッとして目に浮かべていた涙が
一筋頬を伝った。
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