天罰
ホテルのチェックインを済ますとそのままBarに行き、お台場の夜景を見渡せる窓際で
向かい合って座った。

ワインと軽くおつまみを食べながら
ほろ酔いの心地いい気分と好きな人と一緒に過ごす幸せなひと時に
私はすっかり舞い上がっていた。

「ここ良いわね。レインボーブリッジがよく見える。とっても綺麗!」

ふふふ、と上機嫌な私とは裏腹に悟くんの方は
縮こまってあまり楽しめてないように思えた。

「どうしたの?」

彼の恐縮した態度が気になって尋ねると
彼は後悔したように「もっとちゃんとした格好で来れば良かった・・・」と呟いた。

「え?」

「まさかこんな高級なホテルに泊まると思ってもみなかったんで・・・それで・・・」

彼はそれ以上は言わず頼んだお酒を飲みながらその次の言葉も一緒に飲み込んだ。

私はハッとした。

彼の服装を見て確かにこの場にはそぐわないと気づいた。

いつも旦那と来るときはこういうホテルを何度も利用するため何も思わなかったが
まだ20歳の彼にとっては未知なる世界だった。

私はバカだ。

彼に居た堪れない思いをさせてしまった。

私はワインを勢いよく飲み干すと「出よう?」と彼に尋ねた。



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