天罰
「え?でも桃さんはまだいたいんじゃないですか?」

「ううん、大丈夫だから出よう?」

「俺は大丈夫ですよ。桃さんが楽しんでくれるだけで・・・」

私は彼の腕をぐいっと持ち上げると無理やり立たせ
彼の耳元で「早く二人っきりになりたいの」と囁いた。

やっと彼は私の思いに気づいたのかグラスをテーブルの上に置くと
「俺もです」と言って大人しく私の後に付いてきた。

Barを出てエレベーターに乗り、
目的の階へと向かった。
その間、二人は無言だった。

しかし部屋に入るや否や、立ったまま彼は私を強く抱きしめた。
彼の体温、彼の香水の匂い、この大切な瞬間を忘れないように
私も彼の背中に腕を回して彼をきつく抱きしめた。

「ずっとこうしたかったです・・・」
「私も・・・」

「桃さん・・・」

彼に名前を呼ばれて顔を上げると彼の柔らかな唇が
私の唇を覆った。
彼の舌が何度も私の舌を撫でるように転がした。

彼が私のシャツのボタンを外そうとしたので
私は「待って」と言って彼を止めた。

「先にシャワー浴びてからがいい・・・」

彼は「分かりました」と言うと彼が先にシャワーを浴びに行った。

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