天罰
朝になってふと目が覚めた。
重厚感のあるカーテンを閉めてるせいか
朝陽が部屋に入らず部屋は薄暗いままだった。

左隣を見ると悟くんは規則正しい呼吸をしながら
仰向けで眠っていた。

ふわふわの黒髪、意外と高い鼻筋と長い睫毛、
ピチピチの肌に無精髭。
ぷっくりとした唇が少し開いていて
それが金魚の口みたいで可愛いかった。

寝ている彼は無垢な少年のようだった。

こんな哀れで純粋な子に
素っ気ない態度を取ってしまって少し後悔した。
少し謝罪も込めながら今度は私の方から
たっぶりの愛情を注ぐように彼の首に手を回し抱き締めた。

「おはよう、悟くん」

そう言うと彼は起きたのか
「ん・・」と言う声を出しながら私の方に向きを変え
「桃さん」と言いながら私を抱き返した。

あんな素っ気ない態度を取ったのにも関わらず
彼は私を受け入れてくれた。

「大好きよ・・・」
そう言うと
「俺も大好き」と言って
更に彼は抱擁を強め私の胸の中に顔を埋めた。
それだけで私は胸が熱くなり涙腺が緩んだ。
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