きみが白を手離すとき。
出逢った頃はセーラー服を着ていた彼女も、高校ではブレザーに変わって、ますます三つという年齢の差を感じていたことを思い出す。
そして、彼女にはじめて彼氏ができたのもその頃だったと思う。
同じ高校の先輩とか言ってた気がするけど、いけすかないヤツだったし、今の俺の記憶からは抹消されている。
そいつと別れてからも、何人か男ができたけれど、そんなに長続きはしなくて、この度に泣いていた。
『男見る目ねーな』
そんな言葉を浴びせたのが、俺が中三。彼女が高三だった。
出逢った頃は俺のほうがチビだった身長も、成長期を過ぎたらすっかり逆転して、余裕で見下ろせるぐらいになってた。
『うるさいな』
目を真っ赤にして布団から出てこない彼女に、何回も喉をかすめては消えていった言葉。
――〝俺にすれば〟
でも、言えないまま月日は流れてある日。家に連れてきた五人目の彼氏は大学一年だった彼女よりも六つも上の男だった。