シェヘラザード、静かにお休み
雑草という名前の草花はない。
「こんなにまで育っちゃって……」
シーラは庭の近くに建てられた小さな小屋を見つけた。忍び足で近づき、木の扉を少し開ける。中には何者も居らず、しかし警戒しながら中に入った。
シャベルや鍬、鎌などが立てかけられている。奥の方に大きな青いバケツがあり、蓋を開けると人骨……ではなく肥料が入っている。
シャベルの先は土がつき錆びているが、鎌の刃はそれほど錆びてはいない。
シーラはふんふふんと鼻唄を歌い、それを持って小屋を出た。
「シーラさん、どこにいらっしゃるんです?」
マリアの声に、ひょこと頭を上げる。