シェヘラザード、静かにお休み
言葉を重ねて喋るシーラを、ルイスは一蹴する。
「話し合いで解決したなら、あんな暴動は起きてないわ!」
バンッとテーブルを大きく叩いた。その音の大きさに一番驚いたのはシーラだった。
すぐに我に返り、目の前に座るルイスを見て、マリアの方を見た。
「……ごめんなさい。今日は、もう寝るわ」
まだコーヒーの残ったカップをマリアに渡して、リビングを出て行った。その後ろ姿を見たマリアは、やっと気を緩めることが出来た。
怖かった。聡明なことは知っていたが、幼いのにあんなに芯がしっかりとした言葉を話す。