シェヘラザード、静かにお休み
まさか話を聞かないと眠れないから同じ部屋が良いとか……。
「私、さっきのお店で働こうと思うのだけれど」
「店? 働く?」
「住み込み大丈夫みたいだし、私の分の宿代だって勿論ルイスが出すわけじゃない? 私も生活していくには少なからずお金が必要だし、これから全部ルイスに出してもらうわけにはいかない」
「そんなの気にしなくて、」
「じゃあ、また明日。これからの計画はそのときに聞くわ」
ひらり、と手を振ってシーラが来た道を帰っていく。
愕然とするルイスが動き出すのに時間がかかり、腕を取るのを遅れたのに気付いたのはシーラが角を曲がったところでだった。