シェヘラザード、静かにお休み
千夜も続いてたまるか、と
見張りをしている囚人が、食事を取らない。
一昨日まではきちんと取っていたという話だが、昨日から男が牢屋番に代わった途端これだ。
「食べろ」
このままでは処刑の日まで命が保たないことも有り得る。
「ねえ」
囚人が口を開く。昨日までは食べる口すら開かなかったのに。
男は顔を上げた。
青い瞳が男の方を見ている。
「面白い話をしてよ」
囚人は女。
罪状は、城への侵入、傷害、放火。
要は革命を起こそうとして捕らえられた。
他の革命家たちは暴動を起こし、捕らえられる前に自爆した。生き残りが、この女だけだった。