シェヘラザード、静かにお休み

傷も癒えないうちに城へと連れて行こうとしているのだ。
やろうと思ったときには考えなかった罪悪感が芽生える。

「辛いことを思い出させて申し訳ない。レオナルド殿下が国へ戻ってくることは知っていますか?」

「……そうなんですか?」

「ここに来て、城の情報は入れてません」

アメリアの後ろに立つイーサンが答える。

「もしもレオナルド殿下が帰ってきたら、何が起こるか想像がつきますか?」

「ええ、恐ろしいことに」

二人の視線が床へ落ちる。イーサンは静かに、似ているな、と思った。

それに比べて、シーラはルイスとは毛色が違っている。

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