シェヘラザード、静かにお休み

亜麻色の頭のつむじが見えた。

「俺を選んでくれって思ってるときがある」

「選ぶ?」

「椅子に座るとき、眠るとき、話をするとき、イーサンじゃなくてこっちに来てくれって思ってた」

すっと視線が絡む。ルイスの瞳の色がカッパーだったことを久しぶりに認識した。

「私に絆されたのね?」

「シーラを好きだから」

当たり前のことを当たり前だと思うのは、幸せなことだ。

ルイスは当たり前のことのように言った。

「絆すとか絆されるとか、そんな言葉で誤魔化すのはやめる」

ぽかんと口を開いたままのシーラは、言葉を失う。

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