シェヘラザード、静かにお休み

それを知れば、これ以上とない裏切りになるかもしれない。

「けれど、何だ」

「私、前に『出会い方が違ってたら仲良くなれた』と言ったけれど」

「言ってたな」

「あれは嘘。私はきっと、ルイスと違う出会い方をしていたら、貴方と話もしたくなかったわ」

結構な言い分だ、とルイスは思った。
話もしたくない、とくるとは。

「だろうな」

これまたあっさりと、ルイスは言い放った。

「他の出会い方だったら、俺達は擦れ違うことも無かった」

「断言してくれるわね」

「でも、他のifを取り除いて、俺達は出会った。向き合って話をした」

< 267 / 376 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop