シェヘラザード、静かにお休み
呆れた顔をする。シーラはわざとらしく唇を尖らせ、毛布に顔を埋めた。
「私がルイスを好きになったのは」
「何を話す気だ」
「じゃあルイスが私を好きになったのは、にする?」
どっちがどっちという問題ではない。
というより、どうして自分ではなく相手のことまで分かるのだ。
「俺はあっちで眠ることにする。駄目だ、このままだと気が緩む」
「あら、さっきまで緩みっぱなしだったのはルイスの方よ」
図星である。
ルイスは起き上がり、反省した。
「早く移動しなさいよ、私はこれで十分だわ」
シーラはずるずるとルイスの上着をベッドへ引き上げた。