シェヘラザード、静かにお休み

それを見て、複雑な気持ちになるルイス。

「待て、それはおかしいと思う。本体はこっちだ」

「本体は私とは別に眠りたいと言うんでしょう。気持ちを汲んであげるわよ」

「そうだけど、そうじゃない……」

頭を抱えたくなる問題である。シーラは上着の下からルイスの方を見上げていた。

なかなかどうして、認識してしまうと愛しさが溢れるのか。

はあ、と溜息を吐く。自分の中の欲望に対して、だ。

ルイスは上着を退けて、その唇に唇を合わせる。舌を絡め、歯の裏を舐められた。
ぞくぞくと背中に嫌ではない震えが伝わる。

「ルイス、」

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