シェヘラザード、静かにお休み

それを見て、ルイスは首を振った。

「悪い、冷静さを欠いた。シーラが攫われるとは考えていなかった」

玄関を出て、空気を大きく吸う。夕陽は沈みかけ、夜を連れてきていた。

イーサンとアメリアも屋敷を出た。

本当に考えていなかっただろうか。あの元革命家は。
イーサンは車に乗るまでの短い間で思考を動かしていた。

それを見越して、自分に護身術を教えて欲しいと言ったのではないか?
いつかこんな時が来ると予想はしていたのではないか?

でも今回は想定と違った。相手の数が多かったのか、それとも歯向かえない理由があったのかもしれない。

< 301 / 376 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop