シェヘラザード、静かにお休み

鍵を開けると、並べられたルイスの靴と、男女一組の靴。

一体誰のものか、とマリアはそれを見ながら自分も靴を脱ぐ。

リビングへ行くと、既に住人たちは起きていた。
テーブル周りがごちゃごちゃと汚い。

「マリアさん、ただいま」

「坊ちゃん、おかえりなさい……これは」

テーブルの上には地図が広げられている。そして、椅子に座っているのは先程の靴の持ち主なのだろう。
男女の姿があった。

一人はブロンドに蜂蜜色の瞳。この国の純血なのだろう。女性と少女の間くらいの歳に見える。

もう一人は黒髪の背の高い男。鋭い目に、マリアは射貫かれるかと思った。

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