シェヘラザード、静かにお休み
慌てていないオリバーを見て、ここは安全なのだろうと踏んでいるが、貴族がどうやって仕掛けてきているのか、シーラには全く把握できる手段がなかった。
何より、これにルイスたちが巻き込まれたら、意味がない。
「僕は、これから死にゆく者たちに興味も尊敬も憧れも抱かない」
歪んだ笑みを見せる。シーラはその男の中に、初めて狂気を見た。
「王族側の人間を皆殺しにするつもり? それで国民が黙っていると思うの?」
「今までだってそうだろう。国民は黙って見てきた」
「倫理に反しているわ」
シーラは言い切る。それは強いほどの正論。