シェヘラザード、静かにお休み

誰が正義を説こうと、自分の中の正義を信じた。

しかし、本当の正義に勝ち負けなどない。

「救済されるべきだわ、貴方も王女様も私も」

失くして、彷徨って、何かにすがる。

やられた傷を相手にもつける。でも、それは同じ傷ではない。

人それぞれ痛みは違い、また治りの速さも違う。

「そういえばひとつ、貴方に尋ねるのを忘れていたわ」

「何だ」

「このゲームに私が勝ったらどうするか、よ」

「僕は君の提示した条件を飲むという話だろう」

「ああそうだったわ。教えてくれてありがとう」

シーラは時計を見て、拳銃を持った。

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