シェヘラザード、静かにお休み

指を引き金にかける。残り一発。

「時間よ。オリバー、こちらを見なさい」

オリバーは意を決して、椅子を机の方へと戻す。

シーラの方を向くと、その後ろに三人の姿があった。

「私が勝ったら、王女様と和平の結んでくれるのよね」

にこりとシーラが微笑む。その後ろに立つ女性は、確かにシーラとよく似た背格好の、ブロンドの髪を持つ少女。

素早くカルメラの姿を確認する。部屋の隅に眠らされ、転がされていた。

「この勝負、私の勝ちよ」

真っ直ぐ天へ向かって腕を上げる。銃口の向く先は天井であり、シーラは反対の手で耳を塞ぐ。

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