シェヘラザード、静かにお休み
家だったはずの場所はただの建物になっている。アメリアは爆発で飛び散ったガラスの破片が廊下に散らばり、それが光に反射するのを見て思っていた。
「最上階の真ん中の部屋は王室です」
「先に俺が入ります。きっとオリバーだけではないと思うので」
ルイスの言葉に二人が頷く。窓の外には何人かオリバーの仲間らしき男たちが歩いていた。
イーサンはアメリアの後ろでそれを見る。
猫のように音をたてず、ドアの向こうに入ったルイスを見て、「もしかして本業は殺し屋なのでは」と二人は思ったそうだ。
椅子に座って話すシーラの姿が最初に目に入り、その数歩後ろに立つ女がいた。