シェヘラザード、静かにお休み

ルイスは重い気持ちを引きずり、靴を履いていた。

親戚から送られてくる半分以上は、感謝状ではなく釣書だ。親は何も言わないが、いい加減身を固めた方が良いと周りは言ってくる。

「行ってらっしゃいませ、お気をつけて。お母様によろしくお伝えくださいね」

「ええ、はい」

シーラは見送りにも来ない。本当に猫みたいだ。

車に乗り、本家へ向かう。この車で色んな事が起きた。考えを巡らせようとしたが、気が散った。

未だシーラに確認をしていないのだ。ガードナー家にいたのかどうか。

しないままでも良いと思っている自分もいる。
シーラは親をそこで亡くしたのだ。言いたくない気持ちも分かる。

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