シェヘラザード、静かにお休み

牢屋に入っていた当初、知人の少女が死んだという話をしていた。

あれがシーラ自身ならば、惨状を目にしたことだろう。

でも、確認して言質が取れればルイスの両親は反対はしないだろう。
世の中の流れは変わっても、人間の価値観はそう簡単には変わらない。

どうしたものか、とルイスは溜息を吐いた。

勿論、縁談の話は全部断った。父親はそれに対して何も言わなかったが、「モテ期なんて一瞬よ?」と母親は脅しをかけてきた。

日がすっかり暮れた頃に別荘へ帰れば、マリアが外に出ていた。

ルイスの車のヘッドライトが見え、それに駆け寄る。

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