シェヘラザード、静かにお休み

確かに、言われたままこめかみに銃口を当てて引き金を引いていたら、確実にシーラはここにはいないだろう。

「孤児院の時の友達の、雑学が好きな子から聞いたのよ」

「実弾だと分かったら、天に向かって引き金を引けると?」

「そうそう。だからほんの少しだけ、後攻の方が有利なの」

シーラは微笑んだ。有利と言っても、あの状況でそれを選択できる冷静さが必要だ。

アメリアは、その心臓に毛が生えているのでは、とのぞき見したくなる。

一方、シーラはそれをルイスに話したとき、酷く怒られたのを思い出していた。
というより、懇願された。

もっと安全なやり方を取ってくれ、と。

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