シェヘラザード、静かにお休み

仲良くなれていたら、どうなっただろう。
その先を考えるのは無粋だ。

ふとシーラは素早く横を向いた。正確に言うと、廊下の向こう側を。

「どうした?」

唇の真ん中に人差し指を当て、シーラはベッドに横になりルイスに背中を向けた。

その数秒後に足音が響き、廊下を複数人が歩いてくる。
ルイスは立ち上がった。

「様子はどうだ?」

衛兵隊のトップである男がシーラの入る牢屋を見る。その後ろに二人の部下を連れていた。

派遣のルイスにとってその三人は直属の上司ではないが、頭を下げないわけにはいかない。

< 52 / 376 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop