シェヘラザード、静かにお休み
シーラが立ち上がって、檻の傍まで来た。ルイスはシーラが立っている姿を初めて見た。
お互い、立ち上がって向き合うのは、この距離まで近づいたのは初めてだった。
ルイスの背はシーラより頭ひとつ分高い。
シーラは見上げる格好でルイスの方を向いている。
「ねえ」
「……どうした」
いつも見るシーラの顔は暗がりの中でぼんやりしていたが、ルイスが思っていたよりずっと綺麗だった。
やつれてはいるが、ビスクドールのような白い肌と大きな青い瞳。
不釣り合いに細くなった手足が現実味を失くしている。