シェヘラザード、静かにお休み
二人は出身地こそ違うが、境遇は似ていた。家業から逃げてここに来て、ここから逃げて家業に帰る。
馬鹿らしくも思えるが、それ以外にルイスの選択方法がないのは事実だ。
「追々考える」
「そうか。じゃあ、落ち着いたらまた連絡でもしてくれ」
「ああ、酒でも飲もう」
手を差し出されて、ルイスはジャックの手を握る。
寮の裏口に立って二人は別れた。
「今日の朝食は抜きだ。何か必要なものはあるか?」
シーラの牢屋の前で、昨日宣告を行った男が口を開いた。
「いつも牢屋番をしていた彼は?」