シェヘラザード、静かにお休み
くるり、と反転。青い目がルイスの方を見る。
寝転んだまま。
「ルイスはどうして牢屋番をしているの?」
「私語は許可しない。食事を取るだけを要求する」
「人生には多くの物語があるのに」
起き上がって、シーラは壁に背をつけて座った。ルイスも椅子に座り、それに向き合う。
檻が二人を隔てていなければ、同士のようにも見えただろう。
「語らないなんて、贅沢な人生を送ってるのね」
「飯を食え」
「困るよね。私が処刑前に死んだら」
きゅっと瞳が細くなる。シーラは笑んでいた。