シェヘラザード、静かにお休み

くるり、と反転。青い目がルイスの方を見る。
寝転んだまま。

「ルイスはどうして牢屋番をしているの?」

「私語は許可しない。食事を取るだけを要求する」

「人生には多くの物語があるのに」

起き上がって、シーラは壁に背をつけて座った。ルイスも椅子に座り、それに向き合う。

檻が二人を隔てていなければ、同士のようにも見えただろう。

「語らないなんて、贅沢な人生を送ってるのね」

「飯を食え」

「困るよね。私が処刑前に死んだら」

きゅっと瞳が細くなる。シーラは笑んでいた。

< 7 / 376 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop