シェヘラザード、静かにお休み

そうして、こうして、シーラはルイスの車に戻ってきたわけである。

「お前は結構、野蛮な奴だとは思ってる」

その分析は当たっている。シーラは何も反論はしない。

「でも遣う言葉は綺麗だ。育ちが良かった証拠か?」

「ルイスは」

言い淀む。先程の川ほどでは無いが。
そして続けた。

「貴方はとても、お人好しね」

納得できない、という顔。ふふ、とシーラは微笑んでショートブレッドの欠片を口に放り込んだ。

「共犯、と言ったのは嘘よ」

牢屋を出るとき、言った言葉。

嘘、と言っても、あの混乱に乗じてシーラを牢屋から出したのはルイスの他に居ない。

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