シェヘラザード、静かにお休み
そういえば昨日も乗るときに扉を開けてくれていたな、と思い出す。
お坊ちゃんのうえに紳士的。
「ルイスはどうして私を出してくれたの?」
運転席に収まったルイスの方を見て問うた。
エンジンをかけながらそれを考えた。
「さっき自分で言ってたろ」
「私が?」
「お前に絆されたから」
車が発進する。シーラはそれを聞いて、苦笑した。
絆された。確かに、それは間違いない。というか、事実に違いない。
ルイスは自分の中で問答していた。
シーラの死を間近で感じるのがなんだか嫌になって、城で働くのを辞めて、それから暴動が起きた。