ドクター時任は恋愛中毒


「類さん……その顔、私の前だけにしてください」

「……俺は、どんな顔をしている」

「男と雄の、狭間みたいな……すごく、色っぽくて、カッコよくて……もう、何をされてもいいって、思っちゃうような」


恥ずかしいことを言っていると自覚しながらも正直な心境を打ち明けると、彼は自分の頬に当てられた私の手に自分の手を重ね、ふっと苦笑した。


「お前こそ、その危ない考えは、俺以外に話すなよ?」

「こんなこと、類さんにしか言えません。類さんが、好きだから――」

「……ストップ。それ以上、言うな。俺が暴走する。いや、すでにしてる、か」


類さんが諦めたように呟いた直後、両手でがっちりと頭をつかまれて、強引にキスをされた。


「んぅ、……っ」


息継ぎのタイミングで緩んだ唇の隙間から、柔らかな舌がねじ込まれて、私のそれをとらえては深く絡ませてきた。

自然とまぶたを閉じその甘い感触に酔いしれていると、頭がぼうっとして足元がふわふわしてくる。

ダメ。腰、くだけそう……。

類さんの腕にぎゅっとしがみついてなんとか耐えていたけど、どんどん傾いていく体勢のまま、私は後ろにあるベッドに背中から倒された。


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