ドクター時任は恋愛中毒


ドキッとして閉じていた瞳を開けると、一旦キスを止めた類さんが、ネクタイの結び目に指を入れてぐっと引っ張って外した。

後ろに流していた前髪も崩れ、いくつかの束となって切れ長の瞳にかかる様子は、たまらなく妖艶で。その姿を見ているだけで、体の芯が熱を持つ気がした。


「……そういえば」


片手で私のブラウスのボタンを外しながら、類さんが何か思い出したように呟く。


「本当にするのか? ……その、例の手術」

「え?」


すぐにはピンと来なくて私は首を傾げた。

私、健康体だから手術なんて……そう思いかけたけど、次の瞬間理解した。彼の手が、ブラ越しの私の小さな胸をそっと包み込んだからだ。


「いえ、あれは……本気じゃありません。でも……」

「でも?」


胸元の彼の手に自分の手を重ね、自らもその大きさと形を改めて確かめ、落胆する。

わかりきってるけど、やっぱり小さいよね……。


「類さんが、望むなら……考えちゃいます」

「俺が?」

「だって、男の人ならやっぱり……おっきい方がいいのかなって」


切なげに問いかけた私に、類さんは一瞬目を丸くして、けれどすぐにふっと鼻を鳴らして笑った。


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