ドクター時任は恋愛中毒




「真帆、お前は……」


愛情深く彼に抱かれたその後。

ベットの中、裸のまま彼の腕枕で甘い余韻に浸っていると、類さんがしみじみと話し始めた。


「なんですか?」

「なぜ、そんなに可愛いんだ?」

「へっ……?」


間抜けな声で聞き返しても、類さんは慈愛に満ちた瞳で私の髪をそっと梳き、さらに甘い台詞を吐く。


「こうしてそばにいると、また抱きたくなる。……仕事中に病院で会ったら俺はどうなってしまうのだろうな」


そ、それは喜んでいいのか悪いのか……。いや嬉しいんだけど、まさか職場でいちゃつくわけにはいかない。


「ど、どうもなっちゃダメですよ。仕事中は、サイボーグでいてください」

「……自信はないな」

「もう……」

「しかし……お前が俺を恋愛中毒に陥らせたのが悪いんだ。不足すれば、欲しくなるのは当然。……なぜか、満たされているはずの今も、また欲しくなっているがな」


話しながら、掛け布団に隠れた彼の手に体のラインを悩ましくなぞられて、私はまさかと慌てる。


「類さん……あの、もう眠るんじゃ?」

「今するか、院内で理性の回路がショートしたサイボーグに襲われるかの二択だ」

「え。……そ、それ、後者あり得ないですって!」


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