ドクター時任は恋愛中毒
◆ミルクを作るドクター
悪夢だ……。やっぱり、あのサイボーグ、どこかおかしい。
逃げたいけれど、幼い千緒を置いていくわけにもいかず、結局そわそわしながら時任先生の帰りを待つしかない。
時任先生といえば、栄養部の先輩たちは職場の男性医師たちを噂するのが大好きで、よく誰々先生がカッコいいとか、あの先生結婚してなければアプローチするのに!とか、休憩中に盛り上がっている。
しかし、その中でも「絶対付き合いたくない!」と言われているドクターがいる。
もう言うまでもないけれど、それこそが脳神経外科の時任先生なのだ。
医者としての腕はいいしイケメンには違いないけど、何を考えているかわからない、話しかけてもそっけない。
そして誰ひとり彼の笑顔を見たことがないことから、“サイボーグっぽい”と陰で囁かれているんだそうだ。
実は、個人的に寡黙な美形というのはとても好みのタイプで、はじめて時任先生を見たときはいいなって思った。
けれど、本当に最初だけ。
カンファの居眠りを咎められるのは当然だとしても、あの謎のマッサージは羞恥プレイ以外の何ものでもなかったし、待ち伏せされて家についてこられるって、普通だったらストーカー行為だよ。
勢いに押されて、受け入れちゃってるけど……。