ドクター時任は恋愛中毒
くだんの藍澤にその話をした時、彼は「一理あるね」と理解を示した後で、こう言った。
「それでも、人は求めちゃうものなんだよ。“運命の相手”ってやつをさ」
「……理解できない俺は“人間”じゃないと?」
「あ、お前その顔、実は気にしてるんだろ、サイボーグってあだ名」
いやらしい目つきでからかわれるが、俺は即座に否定する。
「そんなわけあるか。そもそも人間的でないことを揶揄したいのなら、サイボーグよりロボットのほうが言葉としては適当だろ」
「あのな、みんなニュアンスで言ってるだけなんだから」
「ニュアンスで馬鹿にされるこちらの身にもなってみろ」
「いやだから、俺も悪魔とか言われてるしね。っていうかやっぱり気にしてるんだろ」
藍澤に再度指摘されると、言葉に詰まった。気にしているというほどのものでもないが、全く何も思わないのだとしたら、それこそサイボーグ……いや、ロボットになってしまう。
「…………多少不快であるというだけだ」
「多少不快、ねえ。そういう物言いがサイボーグっぽいんじゃ?」
「む。そうなのか……」
「はは、やっぱり気にしてる」