ドクター時任は恋愛中毒


「……も、もういいです! わかりました。……なんとなく」


もしかして、この彼の極端な恋愛観こそが、サイボーグと呼ばれるゆえん? これは、深入りしちゃいけないタイプの人かも……。

私は引きつった笑みを浮かべながら、もそもそとご飯を口に運ぶのだった。





それから、時任先生と交代でお風呂に入って、千緒の最後の授乳を済ませると、一気に眠気が押し寄せてきた。

ソファで千緒を抱いたままうつらうつらし始める私に、時任先生が顔を近づけ、千緒を起こさないよう静かな声で言う。


「眠るのならベッドに行け。明日もまた疲れが取れないぞ」


私は眠気を振り払うようにふるふる首を振って、時任先生を見た。

彼の服装は、もともと着ていたスラックスに、上は黒のVネックTシャツ。そのTシャツと新しい下着、それから最低限の洗面用具は、急な泊まりの仕事用にいつも持ち歩いているそうだ。

お風呂上がりの彼は、いつもは後ろに流している前髪が濡れて額にかかっていて、なんだか色っぽい。

しかも私と同じシャンプーの香りまでして、妙にドキドキした。

現在時刻は午後十時過ぎ。時任先生は本当に泊まる気みたいだ。


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