ドクター時任は恋愛中毒
「ベッドは、時任先生が使ってください。千緒が心配だから、最近私ずっとソファで寝てるんです。今日もそうします」
「お前な……それじゃ俺がここにいる意味がないだろう。千緒は俺が見るからゆっくり寝ていろ。ミルクの分量も覚えたし、あげた量と時間を育児日誌に書くんだろ? あとはおむつ替えと、それから……定期的に呼吸も注意しておく」
さすがはお医者様。小児科専門というわけではないのに、こちらが言うより先に、見ていて欲しい項目を網羅している。
でも、お医者様だからってどうにもならない部分もあるのが赤ちゃんのお世話というもの。
「もしも、泣き止まなかったりしたら……」
「本当にどうにもならなくなったら、ちゃんとお前に声を掛けるから」
時任先生は不安な顔をする私の肩に手を置き、穏やかに言い聞かせてくれる。
本来なら、千緒の実の親である妹の意見を聞かなければいけないことだろうけど……。
私は迷う気持ちより、すでにマックスを超えている疲労に負けてしまった。
「じゃあ、お言葉に甘えることにします……でも、やっぱり別の部屋にいるのは怖いから、リビングに布団を持ってきていいですか?」
「わかった。……お前がその方が安心だというなら」