ドクター時任は恋愛中毒
……が、このモヤモヤした感情は、どうやら食事の邪魔をされたからというわけでもなさそうだ。ということは、一体なんなのだ?
考え事をしながらも早々弁当を間食した俺は、空の弁当箱を持ってデスクから立ち上がり、野次馬たちを押しのけながらこう言った。
「ちょっと、栄養部に行ってくる」
「あ、は、はい。行ってらっしゃい」
物珍しそうな視線と、“やっぱり水越さんと何かあるんだ”という囁き声が聞こえたが、俺は無視して病院の一階にある栄養部のオフィスに向かった。
弁当の礼は、きちんと彼女の顔を見て言わなければ。
今日はさすがに、疲れた顔をしていないだろうな。
俺の助けは、今夜も必要か? だとしたら、夕食は何がいい?
なあ、水越。俺はまだまだ、お前への興味が尽きないらしい――。