ドクター時任は恋愛中毒


「下痢してる……」


それになんとなく、色もいつもと違うような気がする。泣き続ける千緒につられて、私も泣きそうになってしまう。

しっかりしなさいよ、真帆。今は私が母親代わりなのよ。

そう言い聞かせて自分を叱咤するものの、新しいオムツに替えたそばから千緒がまた下痢をし、せっせと処理をしていると今度は口からこぽりとミルクを吐き出してしまう。

そしてしばらくけほけほ咳込んだ後は、ぐったりしてしまった。


「ちょっと……待ってよ……」


下痢に嘔吐に高熱。明らかに、何かの病気だ。何とかしなきゃいけないと思うのに、頭が混乱して何から手を付ければいいのかわからない。

救急車を呼ぶほどなのか。それとも、自力で夜間救急に連れて行くべきなのか。自力だとしたら、タクシー? でも、途中で車内に嘔吐されたらどうしよう。

早帆の判断を仰ぎたいけれど、今はそれもできない。私が決めなきゃいけないんだ。私が……。

千緒の体やベッドを綺麗にしながらああでもないこうでもないと悩んでいたその時、ふっと頭に浮かんだのが、時任先生の顔だった。

登録だけはしてあったけれど一度も使ったことのなかった彼の携帯番号に、私はそのとき初めて電話をかけた。


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