ドクター時任は恋愛中毒
ずきりと、胸に亀裂が入ったような痛みが走る。
おい、何故ショックなんだ俺。受け流せ、サイボーグだろ。と、いつもは否定しているその設定を、あろうことか自ら進んで採用したがる自分に、さらに困惑する。
もはや、自分で自分がわからない……。
「今は、その変なところも含めて、好きだなって思うんです。今日、一緒にいてくれて、すごく心強かった。ありがとうございました」
「水越……」
はにかんだ笑顔を向けられ、胸の中で小動物が鳴くようなきゅぅぅんという音がした。しかし、心臓に何か飼った覚えはない。助けてくれ藍澤……心臓に、未知の病だ。
そんな調子で運転中かなり上の空だった俺は、水越のマンションを一度通り越してしまい、「時任先生、行き過ぎです!」と注意されて我に返った。
もう、着いたのか……。
車を停め直し、時間が時間なので部屋まで送ろうと申し出たが、水越に辞退された。
「ここでいいです。時任先生は明日仕事ですよね? こんな時間まですみません。また、病院で」
「ああ……」