ドクター時任は恋愛中毒
千緒のことを早帆に任せ、残りの休日をどう過ごそうかなと思いながら、病院の玄関を出た。ちょうどそのとき、バッグの中でスマホが震えていることに気が付く。
歩道を歩き出しながらスマホを取り出した私は、画面に表示された名前を見て心臓が止まるかと思った。
電話だ……時任先生から。
いったいどうしたんだろう。どうしても先日のキスのことが頭をよぎるけど、彼からそういう用事で電話があることはあり得ないはず。
だって、“くだらない用で掛けてくるな”と釘を刺さしてきたのは時任先生だもの。
ということは、仕事のこと? いや、いくら同じ病院に勤めていても、職種が違い過ぎるから特に業務連絡しあう関係でもないよね……。
けっこう長い間迷っていたと思うのだけれど、バイブは変わらず鳴り続けていた。
なかなか諦めないってことは、やっぱり重要な用事が……?
怪訝に思いながらも、私は画面の通話マークをタップした。