ドクター時任は恋愛中毒
「では、全員に問おう。遊園地において、きわめて自然にさりげなく、彼女と手をつなぐ方法を教えてくれないだろうか」
俺は、わかりやすくハッキリと喋ったつもりなのだが、同僚たちは三人そろって鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。
……なにをそんなに驚くことがある。怪訝に眉を顰める俺だが、直後に彼らの態度がコロッと変わった。
「時任先生、もしかして週末遊園地デートですか!」
「……む。まあ、二人きりではないが、そのようなものだ」
いわゆる、健全なグループ交際というやつだな。
「やっぱり水越さんと?」
「……そうだ」
なんでわかったのだ。
「手なんて多少強引でも好きなだけ繋いじゃえばイイんすよ! それより先生! その先に行きましょう!」
う、うるさい……。しかも、助言してくれたのはひとりだけではないか。
興奮気味の彼らのうち、適切な発言をした医師に俺はさらなる質問をぶつける。