ドクター時任は恋愛中毒


はぁぁぁぁ、と長い長いため息が漏れた、その時だった。手の中のスマホが、軽やかな音で着信を知らせる。


「み、みみ、水越……っ」


頭に思い描いていた相手からの着信に、慌てて手元が狂い、スマホをソファの上に投げ出してしまう。

で、出てもよいのだろうか……。というか、出たい……。

む、向こうから掛けてきたのだものな。無視して出ない方が失礼というものだ。


「……時任だ」


内心ドキドキしているくせに、平静を装って短く告げた俺に、水越はいきなり興奮した様子でこんなことを言う。


『あ、あの、時任先生! テレビつけてください! テレ昼!』

「テレビ……?」


言われるがままリモコンを持ち、普段はほとんど点けることのない正面の大画面に向け、テレ昼とやらにチャンネルを合わせる。

パッと映し出されたのはお笑い番組のようで、二人組のコンビが漫才をしている。

コンビのうちの一方はどう見ても黒人系の外国人だが、その風貌で関西弁を操りボケまくる姿がスタジオの笑いを誘っていた。


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