ドクター時任は恋愛中毒
なるほどな。この番組は、若手芸人の登竜門的なコンテストなのだろう。
「……しかし、いい結果が出なかったら?」
『そのときは芸人の道はすっぱり諦めると……でも、できることなら、彼らに優勝してほしいです』
水越の切実な声を聞きながら、改めてテレビ画面を見る。
相変わらず客の反応はいいようだし、彼ら自身も楽しみながら漫才をしている、そんな雰囲気だ。
数分後にネタは終了し、CMをはさんだのち審査員が得点を発表する緊張の瞬間が訪れた。
司会者がいうには、ネタの発表は彼らが最後だったらしく、彼らの得点によって優勝者が決まるとのこと。
真剣に見ていたわけではないのに、こちらまで緊張して手に汗がにじんでくる。
全貌こそわからんが、あのネタはもっと多くの人間に広めるべきだ。サイボーグとロボットの違いを誰もが考えなおす、よい機会となろう。
そして何より、幼い千緒とけなげな早帆さんの幸せがかかっているのだ。
中途半端な結果で終わるなんてこと、この俺が許さん――。