ドクター時任は恋愛中毒


「そうだったんですね。それなら、残念ですけど今日は無理しないでお休みしてもらった方が」

「いやいやいや、むしろ一番楽しみにしてたのアイツなんだ。真帆ちゃんさえよければ、俺たちとぶらぶらしながら待っててあげてくれないかな? きっと今頃、急いでシャワー浴びたり髭剃ったりしてるから」


藍澤先生の勝手な想像とはいえ、時任先生が必死で身支度する姿が頭の中に浮かんで胸がキュンとした。

……時任先生も私と同じで、ドキドキしながら服選んだりしてくれてるのかな。無理はして欲しくないけれど、正直な気持ちとしては、やっぱり会いたいな……。


「……私は、もちろん構いませんけど」

「じゃあ決まり。先に入って、楽しんじゃおう。で、その間に色々聞かせてよ、時任の面白いハナシ」

「あ、私も聞きたい~!」

「そんなに面白い話は……まぁ少しは、というか結構……ありますね」


チケット売り場の列に並びながら、私は興味津々のふたりに含み笑いをして答えた。


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