ドクター時任は恋愛中毒


「いないな……」

「いないですね」


ひとまず藍澤たちに交際宣言をしようと思ったのに、観覧車を降りてみると彼らの姿は消えていた。電話してみようとスマホを取り出したところ、一見の新着メールの表示が。

差出人は、藍澤天河だ。


【たぶん俺たちはお邪魔虫になる展開だと思うので、ここから先は別行動ということでいいよね? あと、弟の不始末のことはマジで申し訳ない。後日、本人にちゃんと説明・謝罪させます。それではよい休日を!】


ひととおり読み終わると、俺はそのメールを表示したまま真帆にスマホを渡した。内容を確認した彼女は照れたらしく、頬がほんのりピンクに染まる。


「ここからは別行動……だそうだ」

「り、了解です。……私たちのことを気遣ったのもあるんでしょうけど、きっと藍澤先生もはやく美琴と二人きりになりたかったんでしょうね」


そう言って真帆が苦笑した瞬間、彼女の手の中にあるスマホが短い音を立て、見ていた画面が微妙に更新された。どうやら、再び藍澤からメールが届いたようだ。


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