ドクター時任は恋愛中毒
「今度はなんだって?」
真帆になら見られても特に構わないだろうと、俺は自分でメールを読むことはせず内容を彼女に尋ねてみたのだが。
「……ちなみに。真帆ちゃんにイタズラしたいなら、お化け屋敷もおススメ。死角がたくさんあるし、流れるBGMで音や声もかき消されるから、怖いの我慢できれば観覧車と違って最後までいけ――」
も、もういい! あの悪魔め、なんてふざけたメールを……!
俺は真帆がメールを読み終わるより先に、彼女の手からスマホを奪った。そして、頭をがしがしと掻きながら弁解を始める。
「俺は節操なしのヤツと違って、時と場所くらいわきまえるからな。いくら繁殖欲求が高まっていようとも、この園内で事に及ぼうなどとは思っていない。お前との初夜は、それなりによい環境で、ゆっくりと楽しみたいんだ。真帆もそうしたいと思わないか?」
真面目に質問したつもりだったのだが、彼女は顔を真っ赤にして俯いてしまい答えてくれない。
「真帆?」
「……どうして気づかないんですか。自分がすごく恥ずかしいこと言ってるって」