ドクター時任は恋愛中毒
「そう。美しくなりたい女性のお手伝いをしたくて」
「……それって、具体的にはどんなことを?」
美しくなることに、興味のない女性はいない。私もそのひとりだ。
勤務先は病院だし、調理に従事することもあるから化粧っ気はあまりない方だけど、キレイになりたいと思うのはほかの女性たちと同じ。
その気持ちは、類さんと思いが通じ合ってから、いっそう強くなっている。
できることなら、カッコよくてオトナな類さんと並んだとき、お似合いだって思われるような女性になりたいもん……。
「それは本当に色々。顔にメスを入れて一重の人を二重にしたり、鼻を高くしたりっていう本格的な整形手術もやれば、レーザーでシミやほくろを取ったり、注射でヒアルロン酸入れたり……あ、脱毛なんかもやる予定だよ」
「すごいですね……ちなみに航河さんから見て、私に必要な施術って何だと思います?」
そう聞くと、航河さんが真剣な顔になったので、私も背筋をしゃんとして彼を見つめ返す。
さすがに整形手術を受ける気はないけど、美容のプロの目で自分を見てもらえる機会って、そうそうないことだよね。
緊張しながら回答を待っていると、航河さんの口から出たのはこんなひと言。
「……豊胸手術かな」
「え」