漢江のほとりで待ってる
冷徹女の笑顔
「あなたとは未来が描けない。足元ふらついた人とは結婚なんて無理!」
飛行機の中、彼女、美桜(みお)の言葉が頭を過った。
彼女は日本人で、大学時代に知り合いつき合っていた。別れるなんて思ってもいなかったその彼女から、別れを突き付けられる。
「あんなに愛し合ってたのに……恋愛と結婚は別だなんて。よりによってオレの誕生月に結婚するか!?」
迫りくる五月、結婚式の招待状を見ながら溜息をついた由弦。
アメリカの大学を出てから、そのあとしばらくは就職もせず、留学を名目にそのままアメリカで暮らしていた。
そんな矢先、
「いつまでも、お前もフラフラしているわけにもいかんだろう。兄の手助けでもしろ! 兄弟二人が力を合わせて会社を盛り立ててくれたら、父さんも安心して引退出来ると言うものだ! 日本に戻って来い!分かったな? 由弦」
父からの電話。
「分かってるよ。好き勝手させてもらってるのには感謝してる」
――――ここら辺が潮どきか……
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