漢江のほとりで待ってる


次の日の早朝、マスコミの目を避け、由弦は本家を訪れた。

そして、慶太の部屋に入ろうとした時、珉珠が出て来た。

「珉珠さん……!?」由弦が先に気付き、

その声に、珉珠は驚いた。

「どうしてあなたが!?」

「珉珠さんこそ!」

その時、慶太が出て来た。

「あ!由弦来てたのか?中に入ってくれ!あ!それと、青木君、昨夜はすまなかった。君の気持ち嬉しかったよ。一晩中傍にいてくれて心強かった。君の温もりを感じた夜だったよ、ありがとう」

由弦の前で珉珠の肩を抱いて、意味深なことを言った。

「一晩中!?どういうこと!」

珉珠に問いただした由弦の顔が険しくなった。

珉珠は自分の肩に置かれた慶太の手を振り払い、

「違うの!!」

由弦を見て首を横に振る珉珠。

「違う!?」

慶太は珉珠の前に出て、

「由弦!この状況を見て分かるだろう?一つ屋根の下に男と女がいたらすることは一つだ!そんなことを彼女の口から言わせるのか!」

「何っ!!!」由弦は慶太の胸ぐらを掴んだ。

「由弦やめて!副社長!どうしてそんな嘘を!」

止めに入る珉珠。

「嘘?一晩一緒に過ごしたのは事実じゃないか。ふっ、あぁそうだ、由弦、お前には無理だろう?彼女と教会には行けても、一緒に祈ることは出来ないだろう?私にはそれが可能だ!私の母もクリスチャンだ!仮に私が無宗教であっても、私なら彼女のために改宗は可能だ。そして家族ぐるみで毎週教会へも通える!」

由弦は慶太を睨みつけた。珉珠の手を払い、何も言い返せない悔しい気持ちを抑え、二人に背中を向けてその場から立ち去った。

珉珠は慌てて後を追った。

それを見て慶太はほくそ笑んだ。


< 101 / 389 >

この作品をシェア

pagetop