漢江のほとりで待ってる
次の日の早朝、マスコミの目を避け、由弦は本家を訪れた。
そして、慶太の部屋に入ろうとした時、珉珠が出て来た。
「珉珠さん……!?」由弦が先に気付き、
その声に、珉珠は驚いた。
「どうしてあなたが!?」
「珉珠さんこそ!」
その時、慶太が出て来た。
「あ!由弦来てたのか?中に入ってくれ!あ!それと、青木君、昨夜はすまなかった。君の気持ち嬉しかったよ。一晩中傍にいてくれて心強かった。君の温もりを感じた夜だったよ、ありがとう」
由弦の前で珉珠の肩を抱いて、意味深なことを言った。
「一晩中!?どういうこと!」
珉珠に問いただした由弦の顔が険しくなった。
珉珠は自分の肩に置かれた慶太の手を振り払い、
「違うの!!」
由弦を見て首を横に振る珉珠。
「違う!?」
慶太は珉珠の前に出て、
「由弦!この状況を見て分かるだろう?一つ屋根の下に男と女がいたらすることは一つだ!そんなことを彼女の口から言わせるのか!」
「何っ!!!」由弦は慶太の胸ぐらを掴んだ。
「由弦やめて!副社長!どうしてそんな嘘を!」
止めに入る珉珠。
「嘘?一晩一緒に過ごしたのは事実じゃないか。ふっ、あぁそうだ、由弦、お前には無理だろう?彼女と教会には行けても、一緒に祈ることは出来ないだろう?私にはそれが可能だ!私の母もクリスチャンだ!仮に私が無宗教であっても、私なら彼女のために改宗は可能だ。そして家族ぐるみで毎週教会へも通える!」
由弦は慶太を睨みつけた。珉珠の手を払い、何も言い返せない悔しい気持ちを抑え、二人に背中を向けてその場から立ち去った。
珉珠は慌てて後を追った。
それを見て慶太はほくそ笑んだ。